現在の日本では、メンター制度を導入している企業も少なくありません。組織全体で人材を育てていこうという日本特有の仕組みとは一線を画しており、しっかりと1人の新入社員に対して1人の先輩社員をつけて人材を育てていくというものです。特別な手続きや設備投資がいらないということもあり、大企業から中小企業まで幅広い企業で導入が行われています。
このメンター制度の最大の特徴は、双方が成長できるという点にあるでしょう。教育を受ける新入社員が仕事の内容を覚えて日々洗練されていくというだけでなく、教育を行う側の先輩社員も教育を通して成長していけるのです。どういうことかというと、人に何かを教えるためには、まず自分自身がその事柄についてしっかりと理解をしていなければなりません。そして、それだけではなく、どのような伝え方をすれば相手にしっかりと伝わるかということまで考えなければならないのです。そのため、教育する側は新入社員が担当している業務はもちろん、自分自身の業務も俯瞰して見る必要があるでしょう。
また、どのようなコーチングの仕方がいいかを見極めるためにも、新入社員のパーソナリティーも把握しておく必要もあります。このような、ものの見方や行動基準を教育する側が身につけてくれるので、メンター制度は将来の管理職候補の育成にも役立つのです。教育される側と教育をする側、そしてその土台となる企業側三方にとってメンター制度にはメリットがあるといえます。